『視線の先には』
入道雲にゆらり陽炎
視線の先にはなんにもなくて
ただ歩く 歩く 歩く
水筒は持った?
ランプは?
ナイフは?
食料は?
あぁ……靴だけを忘れてる
意味が無い
歩けない
無理なんだ
無理なんだ
灼けた線路を裸足で歩く
視線の先にはなんにもなくて
ただ痛い 痛い 痛い
飛行機雲が空を割る
それを綺麗と誰かが言った
汗の混じった息を呑む
気怠い気分で前を見る
視線の先にはなんにもなくても
なにかを求めて彷徨い続ける
証明がしたい
否定がしたい
「私の旅は無駄では無かった」
そう言えるのならなんでもいい
足裏がただれ
陽炎が邪魔をする
入道雲は変わらずそこで
こちらをじっと見下ろしていた
7/19/2024, 3:57:58 PM