「放課後」
学校に足を踏み入れてから8時間ほど待ち望んだ、チャイムという名の祝福の音が響く。鞄を背負い、机を後ろに下げる。放課後の時間の使い方は人それぞれ。部活に勤しむ人、勉強に精を出す人、友達と寄り道をする人。私は今日は部活がオフの日なので、このまま帰宅ルートに入る。「部活がオフ」。なんと素晴らしい響きだ。小走りで下駄箱に向かい、ローファーに履き替える。掃除担当に当たっている生徒たちに心の中で慰めの言葉をかけながら、晴れやかな気持ちで校門を抜ける。気分はまるで窮屈な鳥籠から放たれた自由な鳥だ。部活帰りの暗い道を友達と歩くのも楽しいが、まだ太陽の見える道路を意気揚々と進むのはとても気分がいい。この後どうしようか。ショッピングセンターにでも寄り道しようかと思ったが、重荷という名前が相応しいような鞄が通路を塞ぐ光景がありありと見えて断念する。大人しく直帰するか。駅の電光掲示板によると、次の電車は3分後。スマホをいじっていたらあっという間だ。同じ制服を着た人たちに続くように電車に乗り込む。行きの電車では地獄に続く渡し船のようなのに、なぜ帰りの電車はこんなにも喜びを与えるのだろう。みるみる小さくなる学校に胸がスッとする。さぁ、帰ったら何をしようか。
「私は自由の身だ!!」
10/12/2024, 2:44:37 PM