今でもたまに思い出す。他にやることもなくて、というかやれることがなくて、真っ暗な公園の隅でぼーっと星を見上げていたこと。思いの外たくさん見えた星は、いつの間にか涙と一緒に、視界の外にこぼれ落ちていったこと。あの日空に瞬いていた星たちは、私にとっては何の希望にもならなかった。
──そんな日もあった、というだけのお話。朝、ふかふかのベッドで目覚めて、寝室を出、階段を降りて、リビングで「おはようございます」と声に出す。ほんのり珈琲の匂いを纏ったあの人は、私を見ると、穏やかな声で「おはよう」と返してくださる。私の目の前に、当たり前のように朝食が置かれて、温かいうちに食べるように促される。あの人の作るご飯が美味しいことは、もう知ってる。
一切の乱れが無い黒髪も、凛とした綺麗なお顔も、静やかで低い声も、夜の化身かと思うほどに美しいけれど、あの日の星空とはまるで違う。星空は到底持ち得なかったもの。
私に、あふれんばかりの希望をくれる人。
お題:星が溢れる
3/16/2026, 10:00:19 AM