—ひだまり—
喫茶『ひだまり』が見えた。
私が小さい頃からよく通っているお店だ。
「おいしい」
「でしょ。ここ私のお気に入りのお店なんだ」
コーヒーを啜ってそう言う彼に、私はよく自慢した。別に私の喫茶店ではないのに、なんだか誇らしかったのを覚えている。
「ごめん、他に好きな人ができた」
「そう……」
その彼とは別れた。
引き止める気力もなく、あっさりと終わってしまった。
あとからわかったことだけれど、私と付き合っていた時にはもう別の恋人がいたらしい。
「いらっしゃい。いつものでいいかい?」
「はい……」
マスターの声は相変わらず穏やかだった。
彼と一緒にきたお店だから、嫌でも彼との記憶が呼び起こされる。
それでもまた来たいと思って、入店した。
「ミルクティーだよ」
一口飲むと心地良い甘さが口の中いっぱいにに広がった。
気づけば涙が落ちてくる。
マスターは何も言わずに、ただ側にいてくれた。
それだけで私の心は救われていた。
お題:君と一緒に
1/7/2026, 3:17:57 AM