「…秋の上着っていつ着たらいいかわかんないよね」
半袖でふらふら仕事場に入ってきた君をみんながひとしきり揶揄ったもんだから、君は少しむくれ顔。
君の文句を俺は苦笑顔で受け流す。
「部屋はさ、あったかかったんだもん。外出てすぐ車だし」
「まぁ俺も衣替えとかしねーから、いつ着ていいかとかわかんねーけどさー」
「だよね! もう…みんなだってそういうことあるのにさー」
ぷりぷりしてる君の頬がぷくぅと膨れてそれが可愛い。
ぷにって頬突いたら、このタイミングじゃキレられそうだな。
「ちょっと。俺の話聞いてる?」
「聞いてる聞いてる。ほら…」
俺は着てた上着を君の肩にかけた。
「みんな心配してんだよ。お前身体よえーんだから。今日は一日それ着とけ」
「え、だって、」
「俺はシャツも長袖だから大丈夫。こっちもそれ着ててくれた方が安心する」
君のぷにっとした頬がちょっぴり赤くなってきたのは、寒くて風邪ひいたー…とかではないよな。
その証拠に君はポツリとこう言った。
「ずっと、つつまれてるみたい…」
▼衣替え
10/22/2023, 2:29:51 PM