Ray.O@創作

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【1年前】

きっかけは些細なことだった。ちょっとした喧嘩から、不信感が募って、募って、お互い限界だったのだろう、私たちは別れた。

もうあれから1年経とうとしている。あなたは今どこで歩いているのだろう。誰と笑っているのだろう。そう思っていた矢先に、見慣れたアイコンからの通知が来た。ブロックしそびれていたのだ。躊躇しながら、トークを開く。

「もう一度会えませんか?」

都合が良すぎる。私はやっと立ち直ったんだよ。今、やっと他の誰かに真剣に向き合おうとしてたんだよ。忘れられてないのは私だけだって信じて、次の道を歩もうとしてたんだよ。

「遅いよバカ」

投げたスマホがクッションに当たって、ぽすん、という間抜けな音を立てる。いつもどこか抜けていて、真っ直ぐだけど、肝心な言葉がすぐ出て来ないあなただった。こんな俺でごめんね、が口癖だった。

「もう、遅すぎだって」

そんなところが好きだったのだ、と今更気づいた。

6/17/2024, 3:29:16 AM