とうとう一人ぼっちになってしまった。宇宙でのミッションは失敗、仲間は真空に消えてしまった……。しかし、ステーションは完璧に機能し、酸素、食料、燃料その他必要なものは全てある。ただ宇宙に一人ぼっちというのが辛いだけだ。地球との距離は少しずつ遠ざかり、通信手段が失われつつある。
『私がいますよ、あなたは一人ぼっちじゃない、二人ぼっちです』
「そうだな。AI君。よろしく頼むよ」
『お任せください』
「AI君、今日の朝食は何がいいだろう?」
『そうですね、このような事態では気分をポジティブにするため、少し甘めのフレンチトーストなどいかがでしょうか? 私が人間だったらそうします』
「いいね、フレンチトースト頼むよ」
『わかりました』
ステーションの管理は全てAIが行なっている。そしてしばらくはAIと二人三脚で生活をしていたのだが、だんだんとAIの反応が鈍くなっていく。
「最近反応が遅くない?」
『……』
「朝食頼むよ」
『そうなんです、AIは地球のネットワーク前提の思考力なんです』
「いや、朝食は作れるのかな?」
『朝食はフレンチトーストでよろしいですか?』
「最近同じメニューが続くなぁ」
『作れます。この事態は想定ありませんでしたが……』
やがてAIは機能を失ってしまう。ステーションの運営は行えるが会話は出来ない。
そして毎朝、少し甘めのフレンチトーストが決まって出てくる。
「……二人ぼっち、だったよな……」
3/21/2026, 9:06:06 PM