「将来、わたしと結婚して。」
私が齢十八の成人して間もない時、まだ齢八の少女にプロポーズされた。
「えっ……。」
ここで気の利いた言葉を返せたのなら、
格好が付いたのだが、何せ、今生には全く縁のなかったことだったので、
私は驚いて、頭が真っ白となり固まった。
「あら、もしかして、ガールフレンドがいるの?」
彼女の大人びた回答に、周囲の大人たちは笑う。
前者は、腹を抱えて大笑いして彼女を称える者。
後者は、彼女のプロポーズを受けるべきだと賛成の意を示す者。
私の父は、彼女に問うた。
「なぜ、息子が良いと思った?」
彼女は、答えた。
「直感です。
この人と結婚すれば、わたしは幸せになれる。そう直感しました。」
父は、満足そうに答えた。
「君は、見る目があるね。これは、将来が楽しみだ。」
そして、彼女の頭を撫でた。
それが彼女、私の妻となる人との出会いだった。
10/30/2024, 1:19:53 PM