あの日あの時
引き金を引いていれば
殺さなければ行けない貴方を
愛す事なんて無かっただろうに。
「後悔」
涙が溢れて仕方がない。
銃が重く感じる。
手を上げることができない。
耳に容赦なく入ってくる上司の声
「早く殺れ」
その言葉に掻き立てられ、
私は顔をぐしゃぐしゃにして腕を上げ引き金を引いた。
「貴方の事を愛していました。」
貴方の紅の水が飛び散った。
何度も見てきたこの光景。
何度見ても何も感じなかったこの景色に、
今はその美しさに感動さえ感じてしまう。
「私も混ぜて」
もう、軽くなった腕をこめかみまで動かし、
さっきまで固くて固くて仕方がなかった引き金を
軽々と引いた。
2種類の紅の水が美しく交わった。
5/15/2022, 1:39:05 PM