のぞみ

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初めての感情
 



高校三年生の、冬。
進路も決まってあとは卒業まで学校生活を過ごすだけ
周りは日常を友達と過ごす子もいるけど恋人同士でくっついて残りの生活を満喫してる人も多い。
そんな時の流れを感じながら思っていた。


好きな人がほしい。



私は高校3年生になってもいまだに恋をしたことがなかった。
小説や漫画で見たことはあっても現実では違うことなんてたくさんだろうし、どうしても現実の恋がどんなものなのかわからなかった。 

でも恋してみたいなぁっては思ってた。

私ももっときゅんきゅんしてみたい。
友達と一緒に恋バナで盛り上がりたい。
好きな人の行動に一喜一憂したい。

願望は一丁前に山のようにある。

けど、もう高校三年生になってあと半年もないくらいに恋するなんて無理じゃない?
これから好きな人なんてできないよね。
あーあ、せっかくの高校生活。
恋しないで終わっちゃうのか。



諦めていた。



けど、それは突然訪れた。



「恋って諦めた頃とか、恋したいって思ってない時とか、
思いがけない時にくるもんだよ」



友達から前に言われたこの言葉が浮かんだ。


始まりは私が想像してるようなものじゃなかった。
マンガみたいに心臓の音が聞こえるくらいにドキドキするなんてことなかったし、「あぁこの人のこと好きだな」なんてはっきりとした自覚なんて全くない。
なんなら今も気になってるで止まってるんじゃない?って思うくらいだ。


ただ、「お疲れ」って笑いかけられたあの日からなんとなくその人が頭の中をずっと占領してて。
いつもよりも意識したり。


初めての感情。


その人のことをずっと考えたり
かわいいって思ってほしいなって前髪を巻いてみたり
私のこと好きになってくれないかなーって念じてみたり
私の存在が少しでも見えるように少し目立つようにきもち大きな声で笑ってみたり
 


これって恋だよね。
ただ気になってるだけ?
それか人として好きみたいな感じ?
初めてでどんな感情が恋なのかわからなかった。


そしてなんか怖かった。
初めて、ちゃんと気になり人ができて。恋の入り口に立って。

これから恋が始まるかも知れないと思ったら、待ち望んでいた恋に嬉しくなりつつも、なんか怖かった。


わからないことだらけで、嬉しさの中に戸惑いも不安もいっぱい混じってるけど、この感情を大事にしたい。




そう思った一日だった。




11/9/2025, 11:05:43 AM