【どこにも書けないこと】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
【番外編】
2月某日
吾輩は猫である。
吾輩などと格好つけて言ってみたが、
メスである。
では何故吾輩と名乗っているかというと。
「あ、ワガハイだ~。おはよー」
「ニャー」
やぁやぁ、あかとき嬢。
本日も元気そうで何より。
いつも一緒にいる双子殿も、
相変わらず見目麗しい。
吾輩は彼女等の通う学校の
近所の家で飼われている。
本来の名前は違うのだが、
彼女等が『ワガハイ』と呼ぶので、
学校を散歩している時は
吾輩で良いのでは、と思っている。
「おはよう」
「おはよう、ワガハイ」
「ワガハイは今日も可愛いねぇ」
「ニャー」
代わる代わる撫でてくる手が優しい。
彼女等に出会ってから、
吾輩は学校へ来るのが日課になった。
理由はズバリ、妄想が捗るから。
ん? と思われただろうか。
説明しよう。
吾輩、前世は人間だった。
中でも、所謂ヲタクと呼ばれる
人種であったのだ。
そんな吾輩からすると、
彼女等でのありとあらゆる妄想は
大変楽しくて仕方がない。
最近は、蹴球の得意な美男子との
縁も出来たようだし、
更に色々妄想の幅が広がるというものだ。
なんと素晴らしい。
今世は猫なので、日がな一日妄想に
耽っていても、何も問題がない。
ただ、猫であるがゆえに、
この妄想をどこにも書けないこと、
形にして残すことが出来ないのは、
非常に残念には思うのだが。
2/7/2023, 3:37:57 PM