NoName

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齢を数える指折りはどんどん早くなって
巣立ちまでの猶予は刻々と縮まって
久方ぶりに合う親戚から口々にかけられる言葉は
「背が伸びたのねぇ」

なのに
年甲斐もなく人に甘えたり
映画を見ても自分だけが泣いていたり
ささいなことで心が掻き乱されたり
「子どもかよ」と直球で言われてしまったり

体と心が並んで歩けなくて
立派な自分を夢見ていた心は
その憧れを抱いたまま
今もそこで動けない

自然に変わるものだと思っていた
年齢に比例して心も成長していくと思っていた
周りの人たちを見て気づいた
私はいまだに変われない

その幼さは恥ずかしい

それでも、
情動に揺さぶられて涙は溢れるし
綺麗なままで生きたいし
本当はまだ両親が恋しいし
独り立ちはどうしようもなく怖い

どんなに幼さを捨てようとしても
心は追いついてこなかった

この幼さは恥ずかしい
恥ずかしいが、捨てられない

この幼さがいつか剥がれ落ちて
綺麗な思い出になるまで
立派な大人になれるまで
時間がある今はまだ
子供のままで

5/12/2024, 5:22:39 PM