水晶

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『永遠に』

産直市場に山きのこが沢山並んでいる、きのこ好きの娘の為に買い求め、短い手紙を添えて送った。
「おばあちゃん、山きのこをどうもありがとう」珍しい、孫の優希が電話をかけて来た。
「で、ちょっと聞きたいことがあるんだけどね。手紙に松しめじって書いてあったでしよう?調べたらこれ、毒きのこだって…」

あ、そうだ!
書き間違えた手紙をそのまま入れてしまった!
本当はショウゲンジ。食用だから安心して食べてねと説明すると、優希のホッとする様子が伝わってきた。

ところでお母さんは?と聞くと「今、きのこ鍋を美味しそうに食べてるよ」
娘は昔から細かいことを気にしない子だった。今回の手紙だって読んでいるのかも怪しい。もし、送ったきのこが毒だったら永遠の眠りについてしまったかもしれないのに。
まあ、そんな娘だから孫の優希がしっかり者になるのは当然の成り行きだろう。

11/2/2024, 9:11:28 AM