ただ、生きている意味を求めていた。
十三の夏、隣で地面に影を落とす彼女から「頑張っているのはみんな同じだから」と冷たく吐き捨てられた。
後ろでさわぐ誰彼の声が耳を離れて遠くなっていく気がしたので、私は気を遣う余裕もなく視線を足元に向ける。
「頑張っているのはみんな同じだから弱音は吐かない」
「命は大切なものだから自殺なんてしない」
「努力すれば報われるから頑張るしかない」
無垢な心を押し殺して、必死に大人になろうとしていた。
世の中の言葉に従順であれば、誰も私を咎められない。
だから、生きている意味を求めることもやめた。
そんなことは馬鹿馬鹿しいと顔も名前も知らない誰かから指摘をされたので、 考えることをやめた。
心は何も求めるものがなくなって虚しいけれど、無意味であるから仕方がない。彼女いわく、みんな同じようにして生きているらしいから。
喪失感.
9/10/2022, 12:57:30 PM