お題『big love!』※修正しました
(登場する人物名はすべて架空です!)
ホラー映画を観た帰りに立ち寄ったファミレスで、映画の感想そっちのけで近況について話し込む。
まぁ、映画はふたりで出かける口実だったし、その映画は内容薄っぺらぺらで、移動時間で感想を言い合って終わった感はある。
圭介は東京、私は大阪の大学に行ったから地元の岡山はふたつの大きな星を失って寂しかったことだろう。だから今日こうして星はお盆をいいことに戻ってきたのだ。ご先祖たちよ、感謝して。ナームー。
まあ、それはさておくとして、圭介は東京の刺激的な生活に少し痩せているし、私は関西訛りが移りつつある口調だしで、幼なじみのふたりの距離が少し離れたようで私は少しだけ寂しく感じていた。
「そういやさー、京都に行った香澄、学生結婚したんだって」
もしかしたら、この話が刺激になったのかもしれない。
圭介が突然とち狂った言葉を私に投げつけてきた。
「菜緒美、好きだ! 結婚してくれ‼︎」
私は言われた内容に思考が追いつけない。
えーっと、待て待て。まず、圭介と私は子供の頃から家がお向かい同士の幼なじみで、幼稚園から高校まで同じ学校で、大学はそれぞれ県外に出て……。
氷が、からん、と溶けて現実に意識が戻った。
あ、そっか。
「圭介、さてはホームシックだな?」
すると今度は圭介の方が長考に入る。
その間に私は、後でこいつに水が上に層を作ってしまったアイスミルクティーの代わりをドリンクバーまで淹れに行かせよう、そう心に決めていた。
しばらくして圭介は顔を振りながら「違う違う」と言った。
「ホームシックじゃなくて! 俺はお前シックなんだよ……」
最後に小さく、「分かれよな」と付け足されて。
私は、参ったな、と。
絆されてもいいかも。
4/23/2025, 8:22:37 AM