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テーマ:「スリル」
雷が走ったかのように肌の表面が痺れ、鋭敏な感覚が思考をフレームへと細切りにする。
拳銃の角度を見て咄嗟に傾けた額を、鉛の塊が掠め、一瞬の間を置いて血流が噴き出す。
その後に訪れるであろう暗闇を察知していた脳が、与えられた一瞬のうちに今の視界を網膜へと焼き付け、
そして、閉ざされる前に目を閉じることで眼球を保存し、
闇雲に踏み出した一歩で距離を詰め、
頭を相手の頭に向かって突き出す。
衝撃と流動する液体が、攻撃の成功を証明し、
一歩引きながら服を破り、顔を一通り拭き取るようにしてから、源泉を巻きつけて塞ぐ。

目を開けると、拳銃も失ってその場で闇雲に暴れるだけの姿が見え、
その緩急に合わせるようにして、私は勢いのついた拳を相手の頬へと叩き込んだ。

11/13/2024, 10:16:44 AM