るに

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雨と君。
君は雨が嫌いで
私は雨が好き。
君はよく私の傘に入ってきて
にゃあーっと
お礼を言う。
私は雨と君が好き。
雨は君を連れてきてくれるし、
君は私を連れていってくれる。
霧が出る紫陽花の庭、
夏でも雪の降る街、
独特な雰囲気の雑貨屋さん。
どこで知ったのか分からない所へ
君は慣れた足取りで
私を案内する。
今日は峠に来た。
君は峠の分かれ道を
右に行ったところにある鳥居に
足をぶらぶらさせながら座っている
白髪の綺麗な少女の元へ行き、
連れてきたと言わんばかりに
誇らしげに鳴いた。
ここは白雲峠ですよぉ。
お嬢さん、何で神社に?
猫に着いてきただけだと言うと、
あらぁ。
じゃあ多分ネブラスさんに
会わないとですねぇ。
白髪の綺麗な少女は
ひょいっと鳥居から飛び降りると
ネブラスさんという人の所へ案内してくれた。
少女は2本のしっぽがある
猫又だった。
弟子を1人とっているのだと言う。
君の仕事が白雲峠への案内人という事も
教えてもらった。
しばらく歩くと
白髪の少女がいた。
猫又の少女の白髪とは
また少し違う白色をしていた。
白髪の少女は私を見るなり、
単刀直入に言う。
キミに白雲峠に住んで欲しい。
この子がキミを気に入っちゃってね、
キミに会いに行く時間が惜しいほど
忙しくなってきたって言うのに
この子、一向に会いに行くのを辞めなくてさ。
と言ってきた。
どうやら私のせいで
君や他の人たちがさらに忙しいみたい。
"Good Midnight!"
私は峠に住むことを了承し
君の喜んだ顔と、
白髪の少女の安心した顔と、
猫又の少女の
何かを疑うような顔を見た。

9/7/2025, 4:00:28 PM