yunyun

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ざあざあと止む気配がない鬱陶しい雨の中、私は傘を差して通学していた。
雨は嫌いだ。靴や服が濡れちゃうから。
嫌いな先生の授業があるのに、朝から憂鬱な気持ちで学校に登校しないと行けないなんて、今日はツイてない。親友に会えることが唯一の救いだ。
住宅街の十字路を曲がろうとしようしとたとき、前から走って来る“彼”の姿が見えた。
「咲月ー、傘入れてくれー」
「颯太……どうしたの、その格好。」
傘も差さずに、びしょ濡れ状態の颯太が私の傘の中に入って来た。思わず距離が近くなったけど、何気ないふりをして颯太を傘に入れた。
幼馴染である颯太は、私の片想いの人だ。野球が得意で勉強が苦手で、子供っぽくて天然だが、誰よりも友達を大切にしている。私はそんな彼に惹かれたのだ。
「いやー、昨日俊介と傘で戦っていたら傘が壊れて……。で、かーちゃんにブチギレされて、今日は傘なしで登校しろと……」
「完全に自業自得……。」
えー、と言っている彼を横目でちらっと見る。不満そうに唇をとがらせて、少し拗ねているみたい。そんなところも、愛おしく思えるのはだめなのだろうか。
「咲月、顔赤いぞ。熱あるのか?」
いつの間にか私を覗き込んでいた颯太が心配そうに話しかけた。顔が近い。
「だ、大丈夫。全然しんどくないから……!」
ばっと顔を背ける。顔に熱が集中しているのが分かる。心臓がさっきから、颯太に聞こえるのではないかというくらい音を立ててる。
「そう?しんどくなったら保健室行くんだぞ。」
「だから、しんどくないってば。」
もう、駄目だ。颯太に合うたびに好きになる。何気ないふりなんてもうできない。
でも、彼は私のこと何にも想ってないんだろうな。
それでも、彼と一緒に居ることが出来るのがとても嬉しい。
嫌いな雨。でも、ちょっぴり好きになれそう。
隣にいる彼が私に微笑みかけてきた。

3/30/2024, 2:41:11 PM