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神様だけが知っている。
俺が、女であるということを。
俺、ミヒャエル・デ・アレッサンドロは、王侯貴族に転生した。
生前はしがない女子高生だった俺は、今では側室が3人いる、立派な男である。
なにをして、男とするか、これが問題だ。
俺は思う。
この、憎しみと自己顕示欲の渦巻く、貴族社会で、のし上がっていくものこそ、男だと。
だが、これは間違っているだろうか?
なぜなら、俺も、俺としての自覚を持ったのは、生まれて15年という歳月をかけ、培ったものであるのだから。
女ならばこういうだろう。
「それは、本当に性別というものなのでしょうか?」
と。
以前、男でもない女でもない娼婦を買ったことがある。そいつは言っていた。
無自覚にも、自身の性を選ぶことは出来ない。
女として自覚的に抱かれるか、男として自覚的に抱かれるか、その2つしかないと。
私は疑った。
本当にそうであるなら、私という性は、何者であろうか、と。

7/5/2023, 7:49:32 AM