No.8:やさしくしないで
犬の様で、猫の様な
そんな彼が、好きだった
隣である一点を追い掛ける彼の目は、僕の事を見ていないのに
でもその癖、彼は不器用なりに言葉を掛けて、何時も僕の隣に居てくれているのだからタチが悪い
...一度、どうしてかと聞いた事があった
『そりゃ、...お前にはお世話になってるし...長い腐れ縁だ』
そう言った彼の顔は、今でもハッキリ覚えてる
それがどうしようもなく嬉しくて、苦しかった事も
「あ?どうしたんだよお前」
ほら、また
俺と同じ気持ちを持っていない癖に
ねぇ、もう辞めてよ
「え?嗚呼__」
「なんでもないよ」
そう言って、僕は笑顔を作った
”これ以上優しくしないで“と、口から出掛けた言葉を飲み込みながら
2/3/2025, 10:53:19 AM