浅木

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 正直な話、自分は生きる意味のない人間だと思うことが度々ある。
 世間一般ではその考えはあまりよろしくは無いが、知ったことではない。私の考えは私だけのものであるし、誰に矯正される謂れもない。
 ただまぁ、そんなことを考えている私だから、思考の行き着く先は「死ねないかな」だ。月明かりすら差し込まない自室の暗がりで、寝る前にいつも考える。

 死ぬ瞬間の意識の切れ方は、睡魔に負けるこの瞬間と同じなんだろうか。

 勿論死んだことのない私には想像しかできないことだ。でもよく創作では言うじゃないか。「眠る様に」とか、「ぷつっと途切れた」とか。まさしく今この状態じゃなかろうか。
 限界まで眠気を我慢してベッドに寝転がる。
 もし同じようなものなら、私は毎日、死ぬためのリハーサルをしていると言うことになる。臆病な私の、いつかの日の為の予行練習。お手軽さに笑いしか出ない。
 これで寝たらもう、起きない。目が覚めない。うん。怖いな。けれどこれ以上楽なものはもう……。

 アラームが鳴る。時刻は朝六時。いつもの通りの起床だ。何回目か分からない日常だ。
 天井から垂れ下がる輪を眺めながら息を吐く。「あーあ」なんて呟いてみるが、この独り言が何に対してなのか……自分でも理解できていない。



2024/5/15
「後悔」

5/15/2024, 4:14:20 PM