青い空から降り注ぐ暖かい日差し、群れを成して飛び回る小さな鳥、優しく頬を撫でる風と揺れる木々の音、悠々と流れる雲。草の生い茂った地面は柔らかく、温まった土の感触も心地が好い。
私は幸せだ。輝かしく地を照らす太陽の恩恵を受けることができた。いわゆる日向ぼっこというものがこんなにも良いものだったとは知らなかったが、肌でその幸福を感じることができた。なんと、暖かく柔らかいのだろう。
体が少しずつ重くなっていくのを感じる。瞼を今にも閉じてしまいたいが、この素晴らしい青空を最後まで見ていたい。間もなく私の体は完全に死に、塵となって散らばってしまうだろうから。
吸血鬼として生まれて長い時間、永遠にも近い時間を生きた。日陰を、夜を、冷たい空気の中を生きてきた。ならば最後くらい、生と引き換えにしてでも温もりを感じたい。暖かく明るいあの光の中で死にたい。最後だけでいいから、光に照らされて死にたい。
私の悲願はかくして叶った。ようやく祝福を授けられたのだと満たされた心で、私はスポットライトに捉えられたまま舞台の幕を下ろした。
『大地に寝転び雲が流れる』
5/4/2023, 11:30:27 AM