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12月31日、午前1時30分。24時間後には年が変わっている。きっとスマホにはあけおめ!などのラインで埋め尽くされてる頃だろう。仲良くない同級生に連絡する口実でしかないイベントだ。くだらない。それに僕は学生だ。新年より新年度の方が重要だし、新しい環境になった4月にあけおめことよろ!と仲の良い友達にラインしたいが変人扱いされるので辞めておく。自分は物事を年度で考えているから、勝手に終わらせて勝手に始めないでほしい。僕にとっての大晦日は3月31日。いや、3月9日だ。

1学年上の人達が制服で花を持ち、あちらこちらに散らばっている。泣いている女子、教師にタメ口で話す野球部らしき男の団体。少し離れたところで話す保護者たち。

本当はここにいるはずだった。人数が増えた学校内を探し回って、写真を撮っている女子グループを掻き分けて、声をかけて、

そうなるはずだった

でも、先輩はもういない

卒業、出来なかったんだ

先輩と仲の良かった人達は先輩のことなんて忘れて卒業証書を抱き締めながら「一生親友だからね」なんて浅すぎる事を言っている。先輩にとって親友はあの人なのに。
最後まで病気と向き合って前向きに生きた先輩。
病気って分かったら友達もあの人も離れていった。

2年生から休学して、戻ることなく旅立った。
その間、誰もお見舞いにはいかなかったらしい。

良いの良いの!あの子たちにはあの子たちの日常があって、それを私で邪魔したくないでしょ、。

笑いながら言ったあの言葉は人に気を遣いすぎだと思ったが、口には出せなかった。


卒業生退出!

気がついたら卒業式は終わっていた。教室で最後のホームルームを行い、下校。

泣いている女子、担任とタメ口で話す野球部の団体、少し離れたところで話す保護者たち。

◯◯さんと◯◯さんのお母さんって仲良いんだと最後にどうでもいい発見もあり。


先輩、卒業したよ


母との帰り道、手元の卒業証書を見て

卒業証書を破ってやりたい
そんな感情を抱いたことを覚えている

12/30/2024, 4:57:09 PM