彼には才能がなかった
幼少期から10年
ピアノも同じ年齢の人達の音には遠く及ばず
少年時代を費やした10年
野球もプロにはなれずただ草野球で少し強い程度の腕前で
仕事を始めて20年
デザイナーの仕事を始めても産み出すのは平凡なものばかり
仕事を辞めて20年
写真家を目指し旅に出ても、その写真には価値はなく
腰を悪くして30年
今更キャンバスに絵を描き、これは違うと何度も書き直す
そんな彼もこの世を去った
彼の葬式には草野球の仲間が集い哀しみ
皆が彼の自画像に手を合わせる
大好きだったショパンの曲と共に運ばれ
霊柩車は彼のデザインしたビル群を通り
世界中の景色の写真と共に火葬された
11/11/2023, 12:27:28 PM