5/24「あの頃の私へ」
元気にしていますか。
僕はそれなりに元気です。
君がつまらないことで就職を蹴ったK社は、今や上場して一大企業となりました。
が、内部告発で不正が発覚し、連日ニュースを賑わわせています。
君が結婚まで考えていたけれど、君の友人に乗り換えた彼女は、どうやら前科何犯もの結婚詐欺師だったようです。
その友人が見事に引っかかりました。
まあ何が言いたいかというと、人間万事塞翁が馬、どう転ぶかわからないので、くよくよするな。
大体なんとかなるから。
5/25「降り止まない雨」
「降ってるなぁ…」
気が滅入る。梅雨はこれだから嫌だ。
楽しみにしていた友達との予定が彼女に急用が入ってなくなったのも、お気に入りのリップが消えたまま見つからないのも、アキラが最近冷たい気がするのも、別に雨のせいじゃない。わかっちゃいるけど。
晴れたら何とかなってくれそうな気がするのに、雨は、降り止まない。
5/26「月に願いを」
満ちる月に願う。我が姫に幸せが訪れますように。
だが、嫁ぎ先から漏れ聞く噂は酷いものだった。中でも、夫の我が姫に対する扱いはぞんざいで、何人もの妾を囲い、我が姫の持参金で遊んで暮らしているのだとか。
「姫。どうか館へお戻り下さい」
使者として姫のもとを訪れた際の、姫の答えは簡潔だった。
「できません。私はそれでもあの方を愛していますから」
ああ―――
欠ける月に願う。我が姫の夫に不幸が訪れますように。
5/27「天国と地獄」
天国とは、美味しいスコーンにたっぷりのクロテッドクリームを塗って楽しむアフタヌーンティーである。
地獄とは、その後の体重計である。
5/28/2024, 12:08:47 AM