つまらないことでも。
小さい頃から、
なんとなく周りに流されて生きてきた。
部活も習い事も、一つも興味が無かったが、
誰かがやっていたから通っていた。
何となく近くの高校に入って
何となく文系の大学に行って
何となくそこそこ大きい工場に就職した。
自主性の無さからライン作業に回され
毎日毎日、同じ形の物を規格に合うか確認した。
数ミリの違いを見つける為に
一個一個、何トンもの部品を見ていた。
仕事が終われば、コンビニで
安いビールを選んで
何となく変化を求めて
新商品の唐揚げとラーメンを買った。
どちらも前に食べた事があるような味だった。
なんてつまらない人生だろうか。
自分の人生の全てが、規則正しい歯車のような
物である為に、そう思えた。
ふと、目線をやったテレビで
昔ながらの職人がインタビューを受けていた。
親の親の代から続く家業は毎日同じ事の繰り返し
若い頃はこれで良いのかとも思ったが
今は良かったと思っている。
だって、俺がやらなきゃ困る人が居るんだから。
そう言って笑って手を見せたが
深いシワが刻まれた、まさに職人の手が
凄く格好良く思えた。
自分の、まだキレイな手が少し恥ずかしくなった。
明日からまた頑張るか
例え、つまらないことでも。
8/4/2024, 10:41:51 AM