私を見つめる両の瞳は安らかで、花を慈しむように優しい。香帆は時折、私にこんな視線を向けてくる。そのたび私はどうしてか、ちょっとドキドキしてしまうのだった。
香帆は小学校からの幼馴染だ。高校生になったいまも、こうして定期的に会っている。
待ち合わせは、いつもの喫茶店。香帆は決まってコーヒーを注文する。ブラックを好んで飲む香帆は、とても格好いい。いつもオレンジジュースばかり飲んでいる自分が子どもっぽく思えて、少し恥ずかしい。
ランチを食べながら、おしゃべりに花を咲かせる。たくさん話して、ちょっとひと息ついたところで、香帆はふいに言った。
「日和といるときが一番おちつく」
静かに微笑む香帆の双眸は、まっすぐに私だけを捉えている。昼下がりの陽光を透かした茶色い虹彩は、とてもきれいだ。
ああ、まただ。私ったらなんでこんなにドキドキしてしまうんだろう。わからない。わからないけれど、今はまだ、わからないままでいい。わからないままがいい。なんだか、そんな気がした。
【テーマ:安らかな瞳】
3/14/2026, 8:27:01 PM