かたいなか

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前回投稿分からの続き物。
最近最近の都内某所、某杉林の奥深くに、
資金繰りにいっつも困っている別世界機関の子分組織がありまして、
親組織は名前を世界多様性機構と、
子分組織は領事館といいました。

多様性機構の目的のひとつは、「こっち」のように若く安定している発展途上世界に、
既に滅んでしまった、あるいは近々滅びゆく運命にある世界の住人を密航させてきて、
いわゆる難民シェルターにすること。

領事館の目的のひとつは、機構の手引きで密航してきた別世界の住人たちに、
その世界で静かに、幸せに暮らせるように、
あらゆる援助、支援、アドバイスをすること。

とはいえ機構にはカネがない!!
やってることが違法だし、コストがひどい!

親の多様性機構も、子分の領事館も、
双方はぁはぁヒィヒィえっちらおっちら、
資金繰りだの、資金集めだの、必死に為して、
滅びそうな世界、既に滅んだ世界の住人たちに、手を差し伸べて、途上世界に密航させるのでした。

で、前回投稿分で領事館、
一発ビジネスの案件として、
4月1日、その1日だけのフードイベント、
エイプリルフール・スイーツ&フーズフェスに、
しれっと出店することで、大暴利をむさぼることをひらめきまして。

「大食いチャレンジで行こう!」
領事館の館長・スギが言いました。
「参加無料、チャレンジ成功で10万円プレゼント、チャレンジ失敗で2万円の支払い!」
チラシもせっせこ刷りまして、
エイプリルフールの隠れ蓑でもって、チャレンジ料理の総量を、少し少なめに描写します。

先進世界の技術を持つ世界多様性機構の子分、領事館保有の機器をもってすれば、
食材の調達費用なんてゼロ同然、ドチャクソ安く抑えられます。
「チャレンジがギリギリ失敗する程度の量の料理を出して、失敗者を大量に出せば、
成功者が少しばかり出ても、問題ない!」

ふはは、ハハハハハ!
スギは勝利を確信しておりました。
そして館長・スギは部下のヒバとアスナロに指示して、原価ほぼゼロの料理をこしらえて、
さっそく、都内某所で開催されたフードイベント、
エイプリルフール・スイーツ&フーズフェスの、
端にしれっと出店。
目論見どおり、2万と2万と2万、更に2万で、
コツコツ確実に、チャレンジ失敗を積み重ねて、暴利をむさぼったのでした。

だって原価がほぼゼロなので、
普通であればこの質この量を、とても2万じゃ出せないというような料理が出てくるのです。
イベント参加者としても、大食いチャレンジ参加者としても、
領事館がサーブしてくる料理は、すべてコスパがレベチなのです。

「ははは、ハハハハハ!大盛況!大盛況だ!」

ただしこのエイプリルフールイベント、
まさかの「領事館の天敵」が訪問しておりまして。

「スフィちゃん、スフィちゃ〜ん、
イチゴあめ食べよーよぉ、美味しそー」
「はいはい。俺様に預けたタルト食ってからな」
「タルトと一緒に〜、キャンディーを食べるぅ」
「ホントにホトは食うのが好きだなぁ」

大食いチャレンジの売り上げがそろそろ50万に到達する頃に、「彼女たち」は降臨しました。
世界多様性機構が推しのカタキばりに敵視している公的機関、「世界線管理局」の局員です。
収蔵部所属の、ドワーフホトです。
ドワーフホトは食いしん坊、満腹を知らない大食いチャレンジクラッシャーなのです!

「大食いチャレンジだってさ〜」
胃袋ブラックホールのドワーフホトです。
「すごーく良い匂いがするぅ」
ドワーフホトの目が、鼻が、領事館の大食いチャレンジを捕捉します。

「あっ……」
エイプリルフール・大食いチャレンジでウハウハしていたスギの顔が、一気に青ざめました。
ドワーフホトが、こちらに来ます。
ドワーフホトが、席に座ります。

ドワーフホトが、1回成功で10万円プレゼントの大食いチャレンジメニューを、
レディース用ランチでも頼む気軽さで、
20セット、注文したのでした。
「あ……」

その後の領事館のことは、敢えて書きません。
ただ間違いなく彼等のエイプリルフールは、
阿鼻叫喚、目論見どおりにいきませんでしたとさ。

4/2/2026, 6:55:30 AM