空想の入り口に、よくカーテンを使った。
それはお姫様のドレスだったり、騎士のマントだったり、王様の部屋の緞帳だったり、砦に掲げられた旗だったりした。
長じて新生活を始めるにあたり、家具をあれこれ用立てなくてはならなくなり、家具屋に何度も足を運んだ。カーテン売り場も覗いた。色、柄、長さと、種類も豊富なカーテンがずらりと並ぶ。選びながら、これから始まる生活に思いを馳せる。あの頃とは異なる、現実と地続きの空想をカーテンの陰に垣間見る。
ふわりと翻る布地は、いつだってちょっとした夢を見せてくれる。
7/1/2025, 5:05:05 AM