嵐が来ようとも
外は、ざあざあと 土砂降りな雨
風も吹き荒び 雷も空を割る様に鳴る
こう言う時は、家でじっとしているに
限る。
普通は、俺の様に思うのが普通だ。
そう、普通は....
「お兄ちゃん プール行こう!」
弟が、お気に入りのプールバックを持って
俺に話し掛けて来た。
「いや 何言ってんのお前....
外の天気が見えないの?
テレビでも 不要 不急の外出は、
控える様に警告してんじゃん!」
「どうせ濡れるんだから関係無い!」
弟は、拳を振り上げて、今日行かないと
意味が無いと言う様に手足をばたつかせた
「いや 関係あるよね! 雷に打たれて
死にたいの?」
弟は、ぷくっと頬を膨らませて
だんだんと支離滅裂な主張を
俺に展開する。
「電気風呂があるんだから電気プールが
あっても良いはずだ!」
「いや 何なのお前は、避雷針にでも
なるつもり?」
梃でも動かない俺にしびれを切らしたのか
弟は....「もういい!一人で行く!」と口を曲げて俺に踵を返そうとする 弟は、玄関に
向かおうとする。
いや 何なの弟のこのストイックさ
嵐が来ようとも折れない心は、
使い所を間違わなければある意味立派だが
俺は、さすがにやばいと弟を止めようと
腰を上げる。
しかしその前に「何 馬鹿な事やってんの
外に行ったら今日のおやつ抜きにするからね!」と俺が止める前に母親の雷が弟に
落ち弟は、泣きながら部屋に戻ったのだった。
弟よ!確かに俺は、今日一緒にプールに
行こうとお前と約束したがまさか
天気関係無く行こうとするとは、
俺も予想が付かなかったぞ!
弟は、いじけて部屋でいつまでも泣いていた。
後日 俺は、約束通り弟をプールに
連れて行った。
弟は、無類のプール好きなのか
はたまた俺のうぬぼれでなければ
極度のブラコンなのか
そんな事を俺の隣を嬉しそうに歩く弟を
見ながら俺は、考えていた。
7/30/2024, 12:29:39 AM