私の中を吹き抜ける風。
私が透明になったみたい。
雨も私を通り抜ける。
私って空っぽなんだなって
外に出る度思ってしまって。
寒い寒い中
温まるものさえ私には無くて
ずっと風に吹かれてた。
でもある日、
真っ赤なマフラーを巻いた人に出会った。
その人は長所より短所、
完全より不完全、
完璧より失敗を好む人だった。
最初は私にも
ザ・偽善者みたいな笑顔を向けてきてた。
お嬢さん、外は寒いですよ。
そろそろ家に帰らないのですか?
にこにこと張り付いた笑顔で言ってきた。
帰りたい家がないのです。
そう答えると
マフラーを巻いた人は
急に笑顔をやめた。
どうやら私のことを気に入ったみたいで
空っぽな私に真っ青なマフラーをくれた。
それから毎日
真っ青なマフラーを巻いて
真っ赤なマフラーを巻いた人に会いに行った。
空っぽな私に何かをくれて
何かが埋まった気がして。
"Good Midnight!"
もうマフラーはちぎれてしまったけど
マフラーを巻いた人の赤いマフラーは
まだ綺麗に残ってる。
色褪せて真っ赤では
無くなっちゃったマフラーが。
11/19/2025, 4:57:38 PM