題 ところにより雨
「あ、ゆうちゃん、今日傘持っていきなよ」
お母さんがそう言う。
「あ、うん・・・」
私は空を見上げた。
快晴だ。雲一つない。
でも、お母さんの言う事は聞いておくに越したことはない。
お気に入りのクローバーの柄の傘を持って、「行ってきま〜す!」と学校へ向かう。
「優美、今日晴れだよ?」
と途中何人かの友達に指摘されたり、不思議そうな顔をされる。
「いーの、お母さんが持っていけって言ったんだから」
私はそう言われる度にそう言い返す。
そうすると、呆れたような顔をされたり、言う事聞くことないじゃん!と言われるけど・・・。
放課後
天気予報では、晴れ、降水確率10%だったにも関わらず、土砂降りになった。
みんな傘を持ってきていないものだから、呆然として空を見上げている。
置き傘をしていた少数の人と共に、私は優雅にお気に入りの傘を広げて帰宅する。
お母さんは、いつも雨になる日を分かってる。
なんでなの?って聞くけど、自分でもなんで分かるかわからないんだって。
でも、100%の的中率で、お母さんが雨になるって言った日は雨になる。
多分降水確率が0%だとしても、お母さんが傘持っていったら?という日は雨になるんじゃないかな?
だから、私にとっては、お母さんの雨予報が絶対で、お母さんが言った場所は雨って決まってるんだ。
それ以外に何か不思議な力があるわけじゃないけど、お母さんのその力、私はちょっと誇らしいんだ。
私はクローバーの傘をクルクル回しながら、弾む足取りで家の方角へと帰っていった。
3/24/2024, 12:07:07 PM