Morita

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書き留めておかなければ。眠りにつく前に。

枕元のメモ帳とペンをひっつかむ。スマホを懐中電灯モードにすると、まぶしさで一瞬目がくらんだ。

先ほど思い浮かんだアイデアを、半分寝ぼけた頭で書き殴る。別に作家ぶりたいわけではない。自分が天才だなんて思ってない、けれど思いついたものをこうして書いておかないと寝られないのだ。でないと、目を閉じたその暗闇の中でアイデアが無限に膨らみ続け寝るに寝られなくなる。だからメモ帳に書いて預けておく。

遠くで工事の音がする。国道の夜間工事が行われている。ダダダダ、ドドドド、硬いコンクリートに穴があいていく。自分の頭蓋骨も貫かれていくようだ。午前2時。意識と無意識の境界。生まれてこのかた暗闇で満たされていた己の頭の奥底には、何が眠っているのか。あるいはただの空洞か。

それを確かめるために私はペンを走らせる。ミミズの這うようなつたない文字で。




【お題:眠りにつく前に】

11/3/2024, 8:59:27 AM