イオリ

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鳥のように

 冬になると、時々遠回りをして車を走らせる。数年前にできた大きな橋を走るため。

 橋の下には、冷たい川。その一角に白の集団。白鳥だ。シベリアから餌を求めて南下してくる。

 別に、何か芸をするわけではない。ただ居るだけ。でも遠くからその姿をみるだけで、冬の風がゆったりしたように感じる。毎年の大事なお客さんだ。

 運が良いと橋を走っているときに、飛んでいるのを見ることができる。リーダーを先頭に、見事なV字編隊だ。一羽の美しさだけでなく、チームワークの美しさも見られる。素晴らしい。

 もっと運が良いと、ちょうどこちらの車の上を通過する時がある。15〜20メートルぐらいだろうか、こんなに近くを?と驚くぐらい間近で見られる時がある。

 そしてその時思ったのは、お腹、結構汚れてるなあ、ということだ。

 そりゃそうだ。水に潜り、足で泥をまさぐり餌を探す。彼らは生きるために来たのだ。あのお腹の泥は、生きている証だ。そう思うと、あの汚れさえも美しく感じる。

 
 もっともがこう。ジタバタして泥をほじくり返して。でも顔だけはいつも笑顔で。

 あの鳥たちのように。

 

8/21/2024, 12:06:28 PM