子供の頃は知らなかった
生きるとは自由と安定のどちらか一方を
選び取ってその責任を負い続けることだって事も
生きた歳月に比例して自然と増えた繋がりが
人生において時に重荷になり得る事も
暖かいと信じていた家庭の中は
やるせないしがらみだらけだって事も
体が大人になっても心の中は
大人のふりした子供のままだって事も
子供の頃は知らなかった
本を読む楽しさは物語そのものでなくて
自分と似通った思考を見つけて安堵する事だって事も
目に映る景色の中に
笑う誰かを思い描く時の寂しさと心強さも
この世界のどこかで愛する人が
自分と同じように呼吸をしている事の多幸感も
そしてその時がいつか必ず
終わってしまう事の残酷さも
子供のままでは知らなかった
5/12/2023, 12:05:11 PM