約束
沈んだほうがいいのよ。
日が沈んだあとのほうが涼しかったな、貴方を君と呼んだとき、もうあの川辺にはいなかった私は、朱に白の斑点の浴衣を脱ぎ捨ててしまったの。それは過去にしてしまったみたいに。泣いていたのよ、私は。貴方が来なかったから。まだ呆れたわけじゃないの。
そう思って見上げた空はまだ太陽に包まれたままで、振り返れば、君が遠くに見えた。
今更今更なの?って泣きたいし叫びたいけど、また閉じ込めちゃうの。日が沈まない今ならまだ貴方と呼び直せるのね。
月下美人
溶けてしまいそう、キラキラして、目に染みる光なの。それ以外、どこに目をやればいいのか、緊張しちゃうの。太陽みたいな貴方だから溶けてしまいそうなのかもしれないけれど、私が溶けてしまいそうなのは太陽みたいな貴方じゃない。夜、月のように静かに囁く貴方なの。
8/6/2024, 2:55:11 PM