『初恋の日』
今日はあの子への初恋の日。
いくつ季節が過ぎようと、鮮やかに覚えている。
日に透けるようなキラキラの金髪と、その奥に隠れた青空みたいな瞳。
それがとても綺麗だったんだ。
「ねぇ、出会った時のこと覚えてる?」
「忘れたくても、忘れられないよ」
大きくなったあの子は、変わらない綺麗な青い瞳で見つめながら言葉を返してくれる。
「あの時僕は君を好きになったんだから」
「私も、だから忘れられないなぁ」
きっかけはなんだか忘れたけれど、私があの子を泣かせてしまった。
潤んだ青い瞳が、その瞳からこぼれ落ちる涙が、私を見上げるその怯えた顔が、私の背骨に衝撃を走らせた。
(あぁ、今私はこの人を支配している)
ゾクゾクした。歓喜した。
私の全てが、この人を支配したくて堪らなくなった。
こんなに腹の底から熱くなる感情が私の中にある事に驚いた。
「ねぇ、好きだよ」
これが私の、初恋。
5/7/2024, 2:06:06 PM