せつか

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あなたは私を「落としてみたい」と言う。
好きにすればいい、と思う。

そんな事を言える時点で、あなたは私のことをこれっぽっちも分かってはいないのだ。
それはただの自意識過剰。
自分なら私を意のままに出来るという、ただの思い上がりだというのに、頭脳明晰なはずのあなたがそれを分かっていない。

「落としてみたい」? 馬鹿なことを言う。

私はもう、落ちるところまで落ちきった、ただの残骸だというのに。これ以上無いというほど堕ちて、僅かに残った残骸で未練がましく落ちる前の自分に縋っているだけなのに。

落ちていく時は夢の城も、綺麗な花も、描いた理想も、みんなみんな引き摺り落として汚してしまう。後に残るのは破れてちぎれて粉々になった、想いの欠片だけ。「堕ちる」というのはそういうこと。
そしてそれは……、蜘蛛の糸とて例外じゃない。

「落としてみたい」?馬鹿なことを言う。
緻密に張り巡らされた蜘蛛の糸ごと、引き摺り落とされる覚悟があるならやってみればいい。

どうせみんな、落ちていく。

END

11/23/2023, 4:49:30 PM