川柳えむ

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 道端の占い師に、毎日話を聞いてもらっていた。
 ありがたいことに、常連だからと、格安で視てもらうことができた。
 その占い師の言うことには、近い内に会う人が運命の人だと。それは、友情や愛情を超え、何よりも強い絆になる、と。

 そしてとうとう、その運命の人と出会った。

「その人は運命の相手です」
「あなた達の間には、切っても切れない繋がりがあります」
「そう。それが何よりも大切な絆なのです」
「あの人の言うことを聞いていれば大丈夫」

 運命の人にたくさん頼られた。頼られるのは、悪い気はしなかった。自分も頼りにしていた。
 占い師の言うことも頼りにしていた。たくさん話を聞いてもらったし、聞いた。
 何でも言う通り聞いていた。
 占い師の言うことと、運命の人が言うこと。何でも。

 あー。そうだったのか。
 どうやら全て紛い物だった。
 繋がっていたのは自分と運命の人じゃなく、占い師と運命の人だった。

 絆なんて、人に言われてわかるものじゃない。
 自分自身が感じるものだと、昔からの友達に話を聞いてもらって、ようやく気付いたのだった。
 大切な絆は、元々ここにあったのだ。


『ここにある』

8/27/2025, 10:35:54 PM