夕月

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『この場所で』

大好きだった親友と
門限まで色々な話をした、この場所で
私はいつも後悔している

小学校4年生の夏休み
いつものように、朝起きて
いつものように、ラジオ体操に行って
いつものように、親友と会って
いつものように、他愛ない会話をして
いつものように、私は去り際に「またね」と言って
いつものように、親友も私に「またね」と返してくれた

それが夏休み中ずっと続くと思っていた
夏休みが終わったら、また遊べると思っていた
まさか、もう「また」がないなんて思わなかったから

彼女が引っ越したと聞いたのは
その翌日だった
『どうしてなにも言わずに引っ越してしまったの』
という気持ちでいっぱいで
昔貰った手紙を1人で読んでぼろぼろと泣いた
数年が経った今も、未だにその手紙は捨てられていない

彼女の連絡先も
彼女が引っ越した先も
何も分からない私は
ただこの場所で後悔するしかない

2/11/2023, 11:23:24 AM