某ゲーム二次創作
「ふむ、この鍛錬が意味の無い事と思うか?」
「確かに他者の力を自在に奪うことができる術を使えば強くなれる、しかし重要なのは力を使いこなすのは俺自身だ。」
「術については長い間研究したが使い手自身が強くなればさらなる強みを引き出せる、故に鍛錬が重要なのだ。」
手合わせを終えたノエルはいつもより饒舌に語った。
エデルはノエルが闇の剣の使い手だと知りつつも彼が持つ探求心の強さに尊敬の念を持った。
「貴方はさしずめ闇の世界の求道者ですね。」
ノエルはエデルの指摘に感心する。
「君には俺がそう見えるか。」
実際力を求める者に惹かれることが多い、手合わせを介してエデルもなんとなく意気を通じるのだろうか…。
「この術を使うようになってから…なんとなく同じ志を持つ者がわかるらしい、やはり力を求める者同士惹かれ合うのが何故だかわかるんだ。」
エデルはノエルの尋常では無い剣撃と気迫に空恐ろしさを感じていた。
常軌を逸した強さは怪物の力を己のものとする術だけではなく使い手の研ぎ澄まされた意思がさらなる強さを引き出している。
自分も彼には獲物のうちの一つなのだろうか、純粋な興味から思わず問いかけが出た。
「私も剣の道を知る者の端くれ、私も貴方によって力を奪われる対象に入りますか?」
エデルの率直な問いにノエルは一瞬驚きの表情を見せるが平静な面持ちで答える。
「いや君は暖かな人だし純粋で気高い志がある、君を術の対象にしようとしたらたちまち反発してしまうだろうな。」
「なるほど、無意味な詮索でしたね今日はありがとうございました。では、これにて…。」
エデルは会釈をするとその場から立ち去った。
ノエルはエデルが遠くに見えなくなるまでその場からじっと動かなかった。
「エデル、君みたいにもっと純粋だったら俺は違っただろうな復讐の道など選ばなかっただろう。」
ノエルにはエデルが眩しかったいつの間にか自分が忘れてしまってた純粋に人を助けたいひたむきさ、心の強さ。
かつての自分も持っていた気持ちを彼はまだ大事に持っていた、それが羨ましくもあり眩しかった。
もしもとかあの時ああしていればとか考えるのはそれこそ意味のないことだと想いながらノエルは過去を断ち切るかのように虚空に向けて剣を一閃した。
「彼は活人剣、俺は復讐の剣だそれでいい…。」
「意味のないこと」
11/8/2023, 2:38:50 PM