No name いろんなふたりやひとりの、概念や小噺

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彼は、自分は太陽の対にもなれぬと言った。あれはまるで太陽の眩しさの裏、路地裏にあるような真っ暗な影と同値だ、と彼が嫌う彼の周りの人間も彼をそう称した。でも、私が彼を見てきた時間なんざ、その周りの人間よりも勿論彼よりも少ないけれど、私は彼をひと目見たとき「この人はまるで太陽のようだ」とはっきりそう思ったのである。それか、月だ。
この時太陽か月かなどは関係ない。とどのつまり、どちらにせよ私にとってきっと彼は光だったのである。

2/22/2024, 11:12:28 PM