わたゆめ

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寒さが身に染みて

昔、長野に住んでいたとき
天気がとてもよいのに太陽の熱が全く地上に届かないことを不思議に思った。
冷たい空気がダウンコートの隙間を突き抜けて刺してくるような感覚。
冷たいを通り越して痛い。

なのに、空は晴天だから脳がバグってしまう。

幼少期を過ごした日本海側は冬の間はずっと暗雲の空なのだ。
高校3年生のとき、通学時間の午前7時台はまだ暗くて朝日がなかった。
ガタゴトとサラリーマンたちと一緒にバスに揺られる。もちろん座る席はなくてつり革にぎゅっと力を込める。
『わたしたちは、なんでこんな箱に毎朝運ばれているのだろうか』と真剣に考えていた。
『なんのために大学受験をし、勉強しているのか?結局、着る服が制服からスーツに変わっていつまでも箱で運ばれるだけなのに。』と。

バスから降りれば、丘の上の学校まで徒歩で歩いて上って行く。
制服を着た生徒たちがアリの行列のように丘の天辺まで続いていた。

8時になっても外は暗くて、曇天の雲が見渡す限り。
地獄への道のように見えた。
重い教科書を背中に担いて、今日も学校へ行く。

軽く鬱っぽい思考になっていた。
日本海育ちには長野の晴れやかな寒空は悪くなかった。
本当に悪くなかった。
むしろ真っ白に輝く雪は美しくて勇気をくれた。

1/11/2026, 2:10:27 PM