お題:さよならは言わないで
「さよならは言わないでおくよ」
あなたがまたね代わりの挨拶を残してから、どれほどの時が流れたでしょう。
触れたら溶けてしまう雪の粒のように淡い祈りを込めた言葉は今もまだ私の胸に灯っているというのに。
冴えた夜空には静謐の星々。
死んだ人は星になるだなんて、誰が言ったのでしょうね。
あなたと星を数えた喜びよりも、あなたを探してしまう無意識の悲しさが身にしみてしまうのだから、なんて意地の悪い言葉でしょう。
物言わぬ星を仰ぎ見て、あなたの声を思い出す。
何度も、何度も。
いつかまた会えたら、このやさしい痛みを渡しましょう。
これは私があなたを思った証なのですから。
12/3/2023, 2:21:26 PM