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昔、一番好きだったのは兄の作ったお菓子だった
母の作るいつもの味より
父が作る凝った作品より
給食より外食よりインスタントより。
別に、兄が料理上手だった訳じゃない
メニューは疎か、やっと一人で台所に立てる位だった
火も包丁も、一人で扱う許可が出たばかりだった。
それでも留守番中、お祝いごとだからとこっそりと
丹念に丁寧に練られたココアと
ありったけ装飾を散りばめたクッキー
それに勝る美味を私は知らなかった。
何百年何千年経っても忘れられないくらいには

‹愛を注いで›

12/13/2024, 12:53:09 PM