たぬぐん

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「夏の忘れ物を探しに」

あの夏に沢山のものを置いてきた気がする。

それは、虫取りに夢中だった童心か、成長するのが楽しみで仕方なかった未来への希望か。

一体どの夏に忘れてきてしまったのだろう。

半袖半ズボンで走り回れるから好きだった夏は、いつしかスーツで歩き回るのが辛いので、鬱陶しいものへと変わっていた。

一体いつの間に、私はかつて持っていたもの達を落としてきてしまったのか。
それとも、落としてきたのではなく、変質してしまったのだろうか。

いずれにせよ、きっとこの忘れ物が見つかる事は無いのだろうと、そんな確信がある。

9/1/2025, 12:48:32 PM