見つめられると
あの子の瞳が好きでした。
この世の全てを吸い込んでしまいそうな黒色で、何よりも強い、強い意志を持ったあの瞳が。わたしを、宇宙の全てを、まっすぐに見つめてくれたあの瞳が。
今となっては、わたしのことを見つめてくれていたのか、それともあの子の視線の先にわたしが入り込んで、見つめられていると幸せな勘違いをしていたのかどうかは誰にも分からないけれど。
それでも、わたしはあの強い瞳に、何度も、何度も救われたのです。
そして、それだけでいいかな、と思います。
今、あの子のあの美しい瞳が、
美しいものをうつしていますように。
3/28/2023, 10:06:52 AM