星乃威月

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幼き日々、帰りがけに遊ぶことを禁止されていた私は、毎日毎日1人で帰っていた

他に人は見当たらない、車も通らない……
学校はつまらず、一緒に語り合える友達も少なくなった

そんな覇気のない寂しさから、最初は道ばかりを見て帰っていた


夕焼けに照らされた赤く燃える山々や、四季折々の風に靡く田んぼに生えた草花の綺麗な景色に、心撃たれてからは、寂しさを感じてた日々も楽しく思えるようになった


けど、周りの状況は日々悪化

毎日のように繰り返される祖父母と親との喧嘩を、どうにか食い止めようと仲裁に入った

火に油状態どころか、『子供が入ってくるもんじゃない‼』と、怒られ殴られ摘まみ出され、とばっちりを受ける始末

物が飛び交う日が続いても、親の面子を潰すまいと誰にも話せない日が続いて、嫌な思いを抱えたまま過ごしていていた


四季折々移り変わる、赤やピンクや黄色に染まった色鮮やかな夕焼けに照らされた田んぼ

何事にも動じないドンと聳え立つ山々

体全体を優しく包み込む風を感じ取る度に、心が浄化されて心と体が軽くなり、心晴れやかになる思いを感じ取った

まるで、大自然から『大丈夫だよ』と抱き締められたかのように

それからは『1人じゃない、自然が味方してくれてるから怖くない』と元気が漲って確信に変わり、日々を楽しく過ごすことが出来るようになった


日々状況は悪化してく一方で、心から語り合える友達はいなくなり、表面だけで付き合う事が多くなったけど──

唯一色褪せない夕焼けの綺麗な景色だけは、いつも心に癒しを与えてくれた

そんな思い出が、心の中の風景として深く根付き、今も心の支えとなっている



ー心の中の風景はー

8/30/2025, 9:00:29 AM