目を開ける。光が目を劈く。頭に痛みが走る。
溢れそうな涙を堪える。
果たしてこの涙は、痛み故か。
君を今から傷付ける懺悔故か。
息を吸う。君の目を見る。
嬉しそうな君の笑顔を、今から壊すのか。
他でもないこの私が。君を信じ愛した私が。
「良かった…目が覚めて。」
幸せそうな顔、紅潮した頬、涙ぐむ瞳、緩む口元。
その全てが、私の罪悪感を駆り立てる。
乾いた喉を無理やり震わせ声を出す。
掠れたその音は、泣き声に似ていた。
「…あなたは、誰ですか。」
息を呑む音が聞こえた。
目を見開く。
瞳孔が震える。
息が荒ぶる。
顔が青ざめる。
君の動揺が、混乱が、恐怖が、絶望が。
手に取るようにわかる。わかってしまう。
ごめんなさい。さようなら。
未熟故に君から逃げ、脆弱故に君を傷付けた。
ずっと一緒に居たかった。
今までそうだったように、
これから先の人生も君と共にあると信じていた。
君が私を案じて、夢を諦めた時。
君が私を優先して、道を外れた時。
君が私を助けて、傷を負った時。
全てが私の所為だったというのに、
君は私を見て笑ったのだ。
傷一つない私を、満足そうに眺めたのだ。
我慢ならなかった。許せなかった。
君が簡単に変わってしまったことを。
君を私が変えてしまったことを。
誰よりも君を愛している。離れたくなかった。
でもそれ以上に、変わっていく君を。
私の所為で変えられていく君を見てられなかった。
どうか私のことは忘れてくれ。
頑張って君のことを忘れた演技をするから。
このまま他人になってしまおう。振り出しに戻ろう。
次はこんな未来に辿り着かないように。
気付かないで、傷付かないで。変わらないで。
ありのままの君が好きだ。
私の隣に居ない、自然体の君が。
2/20/2025, 6:18:04 AM