多田野一人

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春爛漫
花曇りが続き、久しぶりの青空…菜の花の黄色や、桜の薄紅色が、春風に揺れる様は、心地よくて、微睡みそうになる…ハラハラと風に舞う桜の花びらが、春の陽射しに照らされて、遠い記憶が蘇る…
そう、あれは、中学の卒業式の後、図書室での送別会に向かう渡り廊下の傍らにあった、大きな桜が、満開に咲いていて、時折吹風にチラチラ舞っていた…そこに、後輩の女の子が一人で佇んでいて、僕を見つけると、そっと歩み寄って来た…そして、白い封筒を差し出して…受け取ると、ずっとずっと…その後の言葉が聞き取れないまま、桜の向こうに行ってしまった…

4/10/2024, 3:02:53 PM